沖縄県公文書館(真栄城香代子館長)が22日、USCAR(米国民政府)文書のうち法務局文書の一部を公開した。公開された文書では、1965年11月の立法院議員選挙で人民党の瀬長亀次郎氏が失格を不服として琉球政府の裁判所に提訴した場合「即USCARの裁判所に移送するように」と反米的な政治家を排除するため司法介入を指示した文書があった。一方、64年10月に行政主席に指名された松岡政保氏が「キャラウェイ高等弁務官に対する県民の怒りを鎮めるため、琉球政府に徐々に行政を移管した方がよい」と後任のワトソン高等弁務官に進言するなど、県民の反発で米統治の基盤が揺らいでいたことも浮き彫りになった。
USCAR文書からは2008年度の公安局文書以来8年ぶりの新規公開。今回公開となるのはこま数で約16%分で、18年度に完了の見込み。法務局文書の公開が完了すると、USCAR文書全ての閲覧・複写が可能になる。法務局は司法・立法制度の整備、土地の整備、財産管理が主な任務。琉球政府の立法院や裁判所などの指導監督も行った。USCAR文書全体の約4分の1を占める法務局文書は個人情報に関わる部分が多いため公開までに時間を要した。
同館公文書管理課の仲本和彦資料公開班長は「問題になった布令や法律の立案過程や経過を、他の資料と合わせて見ることができ、研究上の価値が高い」と説明している。
<用語>USCAR文書
琉球列島米国民政府(USCAR)が作成または収受した資料群。沖縄の日本復帰時に米に移管され、米国立公文書館に保管されている。沖縄県は1997年度から2003年度にかけて約350万こまを撮影収集した。1998年度から順次公開を進めており、マイクロフィルムとデジタルデータ(一部)で提供している。