「集団自決」現行記述にとどまる 米軍再編に検定意見 2016年度教科書検定


この記事を書いた人 松永 勝利
沖縄戦などを取り上げた高校日本史の教科書

 【東京】文部科学省は24日、小学校道徳と主に高校2年生が使用する教科書の2016年度検定結果を公表した。高校日本史教科書8冊中6冊が沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)を取り上げたが、「日本軍による命令」「軍命」を明記した教科書はなく、現行本と同様の記述にとどまった。

 「集団自決」を巡る記述について、06年度検定意見は日本軍の命令や強制の有無を断定的に記述するのは避けるよう求めている。県内からは検定意見の撤回を求める声が上がっているが、文科省の担当者は「審議会の専門的な審議結果によるものであり、撤回ということは考えていない」と説明した。

 米軍再編の目的について、実教出版社の1冊の「沖縄の基地負担軽減それ自体が目的ではなく、世界規模での米軍再編の一環」との記述に関し「生徒が誤解するおそれのある表現」との検定意見が付いた。文科省は「米軍再編には沖縄の基地負担を軽減する目的も含まれている」などとして、記述の変更を求めたことを明らかにした。【琉球新報電子版】