食べても安心 観光客も 沖縄県がアレルギー冊子、飲食店に配布


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冊子をPRするアレルギー対応沖縄サポートデスクの田村磨理氏(右)とOTSサービス経営研究所の金城弘毅氏=24日、琉球新報社

 食物アレルギーを引き起こす原因となる物質「アレルゲン」の情報周知不足などによる観光客の緊急受診が増えている。那覇市立病院がまとめた観光客の受診原因アレルゲンは「不明」を除くと、ジーマーミ豆腐の原料となる「ピーナツ」が最も多く、菓子類や中華麺などに使用される「鶏卵」が続く。安心・安全な沖縄観光を目指すため、識者らが飲食店などに料理の原材料表示や観光客らが利用する前の確認を呼び掛けているほか、県はアレルギー対応を促進させる冊子を発行した。

 県が発行した「食物アレルギーゆいまーるブック」は、宿泊施設や飲食店などの観光事業者に正しい食物アレルギー対応を知ってもらうのが目的。ブックでは食物アレルギーの基礎知識をはじめ、緊急時対応や外国人客にも分かりやすいアレルゲンの視覚記号などを掲載している。計2千部を無料配布している。

 那覇市立病院小児科の新垣洋平医師は2010年4月~15年9月に、同病院救急センターで即時型アレルギーで受診した患者の統計データ(原因食物)をまとめた。観光客は「不明」が43%で最も多く、「ピーナツ」が27%、「鶏卵」が10%、「乳」が4%など。一方、県民は「不明」が31%で、次いで「鶏卵」が20%、「ピーナツ」が10%などとなっている。

 アレルギー対応沖縄サポートデスクの田村磨理事務局長によると、ピーナツの成分を含む沖縄料理は多く、ジーマーミ豆腐以外にも、隠し味として「ピーナツバター」を使用したミミガーやナーべーラー炒めなどが含まれる。

 観光客はピーナツが使用されていることを知らずに食べる人が多い。ピーナツによるアレルギー反応は呼吸困難など重い症状が出やすいという。これまで観光客が「ジーマーミ豆腐」を食べて、急性アレルギー反応を起こし、病院に救急搬送された例もある。

 田村事務局長は24日、琉球新報社を訪れ「飲食店に原料表示の義務はないが、(アレルゲンは)命に関わる重大なことだ。飲食店は正しい情報提供ができるように取り組んでもらいたい。利用者にも食べる前に再度の確認をしてもらいたい」と強調した。