焼玉エンジン復活 沖縄水産で生きた教材に


社会
この記事を書いた人 松永 勝利
「焼玉」と呼ばれる半球形の予備燃焼室を燃やして内部を温める沖縄水産高校の川満翔太教諭(手前)と嵩原奨哉教諭(奥)=28日午後、糸満市の沖縄水産高校

 【糸満】沖縄舶用工業会(渡眞利敏会長、正会員20社)の「焼玉エンジン蘇生プロジェクトチーム」が約4カ月かけて復活させた58年前の焼玉(やきだま)エンジンの公開試運転が28日、沖縄水産高校で行われた。沖水のOBや在校生らが見守る中「焼玉」と呼ばれる半球形の予備燃焼室を燃やして温め、シュッシュッと大きな音をたててエンジンが回転すると大きな拍手が響いた。
 大城栄三校長は「過去のエンジンだが、新しい知識を学ぶ大きな教材を得た。生徒たちの生きた教材として活用したい」と話し、ボランティアでエンジンを蘇生したプロジェクトチームのメンバーらに感謝の気持ちを示した。
 チームの中心となって修理を担ってきた沖縄機械整備の社長で沖縄舶用工業会の渡眞利会長は「約4カ月かけて分解・点検して試運転し、先生たちに引き継いだ。6人のプロジェクトチームを結成し、持っている技術を結集した」とあいさつした。
 渡眞利会長から海洋技術科2年の吉川翔さん(17)に焼玉エンジンの説明書や点検整備記録などが手渡された。吉川さんは「さびだらけだったけどこんなにきれいになり、本当に動くとは思わなかった。早く授業で動かしてみたい」と目を輝かせた。
 その後、沖縄水産高校の川満翔太教諭と嵩原奨哉教諭が「焼玉」と呼ばれる半球形の予備燃焼室を燃やし、内部を温めエンジンを動かした。
 同校の焼玉エンジンは1951年10月から59年5月まで海洋実習船「開洋丸」(木船、30トン)に搭載され、廃船後は校内で展示されていた。【琉球新報電子版】