9日に85歳で亡くなった女優の北島角子さんの告別式が12日、那覇市のサンレー那覇北紫雲閣で執り行われた。友人やファンら約530人が別れを告げ、「まさに舞台人だった」と惜しんだ。
喪主で長女の玉城由美子さん(48)は、北島さんが生前よく口にした「道ぬ無(ね)ん道ん 一足(ちゅふぃさ)また一足 行(ん)ぢゃい来(ちゃ)いしちどぅ 道や開(あ)ちゅる(道なき道も一歩また一歩と行き来する中で道が開ける)」という琉歌を紹介し、挑戦と努力を続けた母をしのんだ。
劇団「沖縄芝居実験劇場」などで共演した琉球舞踊家の「玉城流てだの会」家元・玉城千枝さん(69)は「歯に衣着せず叱ってくれる人で、先輩の真喜志康忠さんを叱った時もあった。先輩たちが一人一人いなくなり寂しい」と涙ぐんだ。
民謡歌手の「元ちゃん」こと前川守賢さん(57)は「言葉に厳しく、『あなたは歌手だから歌詞に気を付けなさいね』と教わった。まさに舞台人だった。来る者は拒まず『かなさんどーやー』とかわいがってくれた」と惜しんだ。
「喜劇トートーメー万歳」などで共演した俳優の普久原明さん(58)は「角子さんはいつも緊張した面持ちで舞台に臨んでいた。それだけ常に真剣だった。また沖縄の舞台に輝く大きな星を失った」と声を落とした。