「着工」は砕石5袋、作業15分 辺野古に市民の怒号 海保100人で警戒 


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
護岸工事が始まった名護市辺野古の海。波打ち際に投下された砕石は5袋=25日午前11時すぎ

 「辺野古新基地建設ノー」の沖縄の民意を無視し、政府は25日、米軍普天間飛行場の移設計画に伴う名護市辺野古の護岸工事着手を強行した。午前9時20分に始まった作業で、海中へ投下した砕石は5袋。抗議行動を続ける市民から「ただのセレモニーだ」「県民の声を聞いてほしい」という怒りの声が上がった。埋め立て承認の撤回を翁長雄志知事に強く求める声も。県外で沖縄の基地を引き取るべきだとする運動を展開する関係者は「沖縄側と連携し、運動を展開していく」と全国的な世論を高めを高めていく必要性を指摘した。

 25日午前8時半、海上保安庁のゴムボート約25艇がシュワブ沿岸「K9護岸」の海上に並び壁を作った。市民は100人近い海保職員に囲まれながら、抗議船4隻、カヌー16艇で海上抗議を繰り広げた。

 午前9時ごろ、沖縄防衛局は、シュワブ沿岸部にテントを設置し起工式を開いた。K9護岸には真っ白なテーブルカバーを掛けた机が置かれ、スーツ姿の防衛局幹部や工事関係者らがずらりと並んだ。

 午前9時20分、砕石の海中投下が始まると、カヌー16艇は進入防止フロート(浮具)を次々と乗り越えた。K9護岸に向け力いっぱい、オールをこいだ。「海を壊すな」「工事をやめろ」と声を振り絞って叫んだ。

 市民の怒りが海上に響き渡る中、防衛局は砕石5袋を浅瀬に投下。その時間、わずか15分間だった。関係者らは投下を確認し、K9護岸から姿を消した。その後、午前と午後の2回に分け、砕石約25袋が浜のクレーン車付近に平らに敷き詰められていった。

 フロートを挟んで海保と対峙(たいじ)し、抗議したカヌーチームの吉岡千絵さん(38)は「(海中投下の砕石は)午後になって潮が引くと、波打ち際で全部見えている状態だ」と話し、「県民に諦めさせるためのセレモニーだ」と断じた。「政府は、着工したからもう引き返せないと思わせたいかもしれないが、思惑通りにはさせない」と語った。

 海上で声を上げ続けた抗議船船長の相馬由里さん(39)は「政府は、海中に投下したというアピールをしたいのだろう。工事を進めるためなら何でもしてくる」と怒りをにじませた。その上で「私たちも諦めるつもりはない」と語気を強めた。