那覇市民会館閉館へ 保存か解体か検討 補修費試算31億円


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 城間幹子那覇市長は26日の記者会見で、施設の老朽化で現在休館中の那覇市民会館を再開する見通しは「ない」と述べ、現在の市民会館を閉館する考えを示した。閉館時期や取り壊すかどうかについては、識者や市民で構成する検討委員会を年内にも立ち上げ、協議するとしている。

閉館が予定されている那覇市民会館=2016年10月、那覇市寄宮

 市民会館は施設の老朽化で大地震の際に崩壊の恐れがあるとして、2016年10月から休館している。市が実施した調査で、耐震補強工事や柱、梁などの改修だけで約31億円の費用が必要になるほか、補強や改修の完成まで少なくとも3年かかることも発表した。内装の改修が必要になった場合は、さらに費用がかかるという。耐震補強と改修工事で20~30年は施設を維持できるとしている。

 一方、耐震補強工事は、沖縄の伝統的建造物として評価が高い雨端(あまはじ)を複数の壁で固定する計画となっており、「外観を損ねる恐れがある」ともしている。

 市は今後、検討委員会を開き、地域が要望する真和志支所としての利用や、市立図書館と中央公民館などの複合施設の設置、建物の保存から取り壊しの有無を含めて幅広く議論し、判断する。

 市は、市民会館機能を久茂地小学校跡地に建設予定の「新文化芸術発信拠点施設」に移転し、21年に開館する計画を進めている。現市民会館の耐震補強や改修に3年以上かかるため、改修後に再び市民会館として利用するかどうかは「検討していない」としている。

 城間市長は市民会館の利活用について、「市民や専門家の声を聞いて総合的に判断したい」と話した。