食で命考える場に 上谷夫妻、平和祈念資料館に仏料理店開店


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「食で平和を考える場にしたい」と語る上谷喜美夫さん(右)と妻のみち代さん=23日、糸満市摩文仁の県平和祈念資料館

 【糸満】糸満市摩文仁の沖縄県平和祈念資料館2階喫茶室にフレンチレストラン「ラ・メール・キミシマ」が28日、オープンする。関係者を招いたレセプションが23日、同レストランで開かれ、開店を祝った。運営する喜企画の会長兼オーナーシェフの上谷(うえたに)喜美夫さん(49)と代表で妻のみち代さん(44)は「コース料理の中にすいとんなど戦時中の食事を取り入れ、食で平和や命の大切さを考える場にしたい」と抱負を語った。

 県平和祈念財団によると、資料館内の喫茶室は2000年の同館開館時から設置されている。しかし運営業者が決まらず、一度も使用されたことはないという。

 「キミシマ」の上谷オーナーシェフは糸満市出身。糸満高校卒業後、辻調理師専門学校に進学。卒業後、沖縄に戻り、万座ビーチホテルで7年ほど修行を積み、26歳で独立した。現在、浦添市伊祖と豊見城市豊崎にフランス料理店、嘉手納町水釜にやんばる地鶏の炭焼店を構える。困窮世帯の子どもたちの支援なども積極的に行っている。

 オープンに当たり、地元のおばあちゃんたちから戦前、戦中の食事について学ぶ勉強会を開いている。「キミシマ」のランチコースには、すいとんなど戦時中のメニューを取り入れていく考えだ。

 上谷夫妻は「戦後72年が経過し、体験を語り継ぐ人が少なくなる中、食を通して平和や命の大切さを伝えたい。食は国境なく万人に伝えられるツールになる。戦時中と現代の食生活を味で表現したい」と語った。

 店内は大きな窓から明るい日差しが差し込み、平和祈念公園が一望できる。「ラ・メール・キミシマ」は午前11時から午後5時(ラストオーダー午後4時)。月曜定休。

立食形式で行われたレセプション。店内から平和祈念公園が一望できる