「国とのずれ埋まらず寂しい」 翁長知事、基地解決で言及


この記事を書いた人 松永 勝利
米軍属女性暴行殺人事件の発生から1年を迎え、会見で「国とのずれ埋まらず寂しい」と語る翁長雄志知事=28日午前10時50分ごろ、県庁

 翁長雄志知事は28日午前、県庁で定例記者会見を開き、米軍属女性暴行事件から同日で1年を迎えたことについて「1年を迎えるに当たり、基地問題に関して全県的、県民的に発言、行動してきたが、状況が何ら変わることがなく続いているのは大変残念だ」との見解を示した。その上で「国や米軍との気持ちのずれが埋まらないまま今日に至るのは、寂しい気持ちを持ちつつ、必ず打破する決意だ」と述べた。今後、あらためて日米地位協定の抜本的見直し、米軍基地の整理縮小、米軍関係者の綱紀粛正を日米両政府に求めるとした。
 事件後に政府が防犯カメラや防犯灯の設置、防犯パトロールなどをしていることの評価を問われ、知事は「一歩前進」と述べた上で「県民の声を聞くと、やはりこれは根本的な問題ではないと(する意見を)多く耳にする。一番大きな課題は日米地位協定の改定だ」と述べた。
 この日は同時に、サンフランシスコ講和条約が発効し、敗戦国の日本が主権を回復した一方、沖縄や奄美が日本から切り離されて米統治下に置かれた「屈辱の日」から65年を迎えた。政府が2013年4月28日に「主権回復の日」とした記念式典を開催した点に言及しながら翁長知事は「私たちや沖縄の若者にとっては日本から切り離された誇りを失う日だ。この大きな溝を私は魂の飢餓感と言うが、どうしても言いたいことが伝わらない」と述べ、政府が辺野古新基地建設を強行していることなどを念頭に不満を示した。【琉球新報電子版】