【東京】明治大学島嶼(とうしょ)文化研究所の設立を記念したフォーラム「国際社会の中の沖縄奄美」が29日、同大学で開かれた。長年沖縄や奄美の研究に関わってきた首都大学東京の渡邊欣雄名誉教授とドイツ・ボン大学のヨーゼフ・クライナー名誉教授が講演したほか、フィールドワークなどを続ける文化人類学や民俗学の研究者らが今後の展望などを語り合った。
復帰前から東村を拠点に社会人類学的な調査を続ける渡邊氏は「グローバル沖縄-ホスト&ゲスト」というテーマで講演した。沖縄が歴史的に中国などから移住者を受け入れてきた一方で、南米などへ移民を多く輩出していることに触れ、混ざり合う沖縄文化について「多元にして一体という、一見矛盾したようなありさまがある」と指摘。チャンプルー文化を成り立たせているものとして「仮構の概念」を提示した。
クライナー氏は「私の見てきた沖縄・奄美」と題し、加計呂麻島(鹿児島県)や波照間島などでの調査に関するこれまでの研究を紹介した。南西諸島の研究は「『沖縄とは何か』という琉球・沖縄のアイデンティティーを研究目的とする学問であるべき」だと強調。大学や博物館の学際的、国際レベルの協力が不可欠だとして、沖縄国立博物館の設立の必要性を説いた。