日本復帰45年を迎える県民世論調査で復帰を評価する回答は高い水準ながらも、同様の質問形式になった復帰25年の調査以来20年間で最も低くなった。一方「復帰して悪かった点」は「米軍基地の被害」が初めて最多となった。復帰以降、高まる基地の整理縮小の要求にもかかわらず、変わらぬ基地集中の実態が県民感情に大きく影を落とした格好だ。
昨年末の米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ墜落など米軍機の相次ぐ事故や、米軍属女性暴行殺人事件などの米軍関係者による事件・事故に加え、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で政府による埋め立て作業強行なども重なった中での調査となった。
20年前は全国の約75%の米軍専用施設面積が存在したが、現在もなお約70%が集中していいる。国や県に望む施策の中で「基地の整理縮小と跡地利用」を求める声が5年前に続いて最も多くを占め、さらに割合では過去最多となった。政府の言う「沖縄の負担軽減」とは裏腹に、県民が求めた形になっていないのが復帰45年の実態だ。
普天間飛行場の辺野古移設を巡って政府は4月末、辺野古沖で「埋め立て工事着工」を演出し、作業の進展を内外に強調してみせた。その直後の調査にもかかわらず、普天間飛行場の県外・国外、撤去を求める声は74・1%で、容認・推進を大きく上回った。辺野古移設を拒否する民意が従来同様に強く、政府の作業強行が県民の「諦めムード」の惹起(じゃっき)にはつながっていないことがうかがえる。
さらに翁長雄志知事への支持率は66・7%で、大田昌秀氏や稲嶺恵一氏、仲井真弘多氏らの34~37%を大きく上回った。辺野古沖の埋め立て承認の撤回へ翁長知事の決断を迫る声も高まるが、政府と対峙(たいじ)しようとする翁長知事を支える民意が改めて表出したと言える。(滝本匠)