全身に力が入らない病気のため、人工呼吸器を装着しながら那覇市立高良小学校(多和田悦子校長)に通う6年生の湯地駿羽(ゆじはやと)君(11)のことを学校のみんなに知ってもらおうと、昨年度同じクラスだった児童が湯地君を紹介する動画を作成した。「駿羽さんは僕たちと一緒。普通だよ。みんな仲良くしてね」。幼稚園から6年間、共に育った子どもたちは声をそろえる。
動画を作ったのは昨年度、5年1組で湯地君と同じクラスだった児童39人。病気、呼吸器など機械のこと、学校生活の様子、宿泊学習での様子など9つのテーマに分かれて、湯地君の母三代子さんや特別支援学級の担任を取材した。
10日、同校の朝会でお披露目した。児童は真剣な表情で動画を見ていた。
「脊髄性筋萎縮症類似疾患」という湯地君の病気を調べた金城裕士君(12)は「病気について分かれば、いろんな人が駿羽さんに接してくれるかな」と期待。「障がいがあっても普通に接することができるよ」と話す赤嶺沙月さん(11)は、目や口の動きから湯地君の感情を読み取るという。
動画では湯地君と一緒に児童が外出する場面も。湯地君は障がい者用の補助器具を使ってボウリングを楽しんだ。上原こゆきさん(11)「体が不自由でもみんなの力を借りれば一緒に楽しめるよ」と声を弾ませる。
初めて同じクラスになった子は最初は戸惑うが、他の子が普通に接するのを見て、自然に接し方を学んでいった。
5年1組の担任だった大城英子教諭(48)は「子どもたちは常に駿羽さんのことを考えて動いてくれた。駿羽さんは特別ではなく仲間」と振り返る。
人工呼吸器を装着しながら地域の小学校に通うのは湯地君が県内で初めて。母三代子さん(42)は「駿羽のことを知りたい、知ってほしいという強い思いを感じた。一緒に育ったからこその気持ちだと思う」と話した。(玉城江梨子)