第4回5・15~本土復帰の日に沖縄の子どもの幸せを考える~沖縄の保育・子育てシンポジウム(主催・本土復帰の日に沖縄の子どもの幸せを考える実行委員会)が13日、与那原町の沖縄女子短期大学で開かれた。名古屋学芸大学の吉葉研司教授が「オキナワから子どもの生活の質(QOL)を考える」と題して特別講演し、「子どもが『生きていてよかった』と思える豊かな生活について議論されていない。子ども目線でのQOLの向上を」と訴えた。
第2部では吉葉教授のほかウィンフィールドひろみ氏(那覇市・グッピー保育園園長)、與座初美氏(NPO法人こども家庭リソースセンター沖縄理事長)、保志門るり江氏(NPO法人たいようのえくぼ代表)を交えてシンポジウムを開いた。それぞれの活動から「軍用機の爆音にさらされ、乳幼児の発達が保障されていない」「宿題が多くて遊ぶ時間もない」など現状を報告し議論を重ねた。
吉葉教授は、成績が良くても卒論テーマを決められずに泣く学生の例を示して「学力は必ずしも生活の質を担保しない」とし、学力とは異なる豊かさを考える必要性を指摘した。「四季がない」と言われる沖縄には「旧来、季節は24あり、風でそれを区別する豊かさがあった」と説明。本土中心主義を見直し、沖縄独自の豊かな文化や自然との出合いや遊びを通して「文化を創造する沖縄の人として育つ営みを」と呼び掛けた。
復帰の日に引き寄せて憲法に触れ、子どもが子どもとして生きるためには「暴力に脅かされず、日々の食事に困らず、他者と協働して生きることが担保されて初めて実現する『平和的生存権』が不可欠」とした。そのためには、戦争がなく(9条)、安心して生きる生存権(25条)、生きていてよかったと思える幸福追求権(13条)の「三つをセットで考えて」と訴えた。泣いたりかみついたり、大人にとっては不快なサインで要求を表現する子どもの意見表明権にも触れて「言葉にならない子どもの叫びを受け止め、遊び、休むことを保障し『今日は楽しかった、明日は何をしようか』と思える生活の質の保証を」と強調した。