沖縄県内農業産出額17%増 伸び率3位 台風対策、輸送補助が奏功


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 翁長雄志知事は26日の定例会見で、2015年の沖縄の農業産出額が2011年比で16・9%増え、伸び率で見ると宮崎、北海道に続いて全国3位だったと発表した。一括交付金を活用し、沖縄の特殊性に合わせた栽培振興策が力を発揮したとし、さらなる生産拡大に意欲を見せた。

 沖縄の農業産出額は2011年の800億円から4年連続で増加し、15年には935億円に伸びた。

 沖縄は「台風銀座」と呼ばれるほど台風襲来が多いことや、全国で唯一、陸上交通で他県と接続がなく、輸送を空路や海路に頼らざるを得ないなど地理的な課題が多く、農業振興の高いハードルとなってきた。

 自由度が高い一括交付金の特長を生かし、県は台風に強い耐候性ハウスの導入を進め、安定生産が課題だった県産農産物の供給体制強化を進めてきた。流通面でも他県と陸路で結ばれている隣県・鹿児島までの輸送コスト相当分を補助する事業を実施した。サトウキビや肉用牛振興でも機械化の促進といった施策を実施し、生産振興につながった。

 16年はサトウキビの生産量が17年ぶりに90万トンを超え、93万トンを見込む。肉用牛産出額は過去最高の228億円となる見通しだ。

 野菜の東京向け集荷は16年に4864トンとなり、11年比で27%伸びた。ゴーヤーやニンジンは02年以降過去最高となる見通しだ。切り花の出荷もスプレーギクやトルコギキョウといった品目が順調に伸び、11年比10%増となり栽培施設の整備が力を発揮している。

 翁長知事は「観光業の発展の面でも農林水産業の役割は大きい」と農業振興の意義を語った。