沖縄県内農業産出額、21年ぶり1000億円超へ 16年見通し


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 2016年の県内農業産出額が、21年ぶりに1千億円を超える見通しとなったことが3日までに、関係者への取材で分かった。農業産出額の上位2品目を占める肉用牛とサトウキビ生産が好調で産出額が共に200億円を突破し、2品目だけで前年比約90億円増加する見込みとなり、全体の伸びをけん引した。15年の農業産出額935億円から大幅に増加し、農業の活性化に期待が集まる。

 5月26日に今期の製糖操業が終了したサトウキビ栽培は、関係団体のまとめによると原料の生産量で前年比24・2%増の93万7523トンとなり、17年ぶりに90万トンの大台を超えた。

 10アール当たり収量は前年比1533キロ増の7245キロ、平均糖度は1度高い14・6度となり、量、質ともに前年を大幅に上回った。

 これに伴いサトウキビの産出額も大幅に増える見込みで、JA沖縄中央会の試算によると今期の産出額は約56億円多い218億1500万円に上ることが見込まれる。1995年以来、21年ぶりに200億円を超える見通しとなった。

 2016年の肉用牛産出額は、県内家畜競り市場での子牛取引価格が上昇したことを受け、15年比41億円増の228億円(県畜産課試算)に上ることが見込まれている。

 15年の全体の産出額935億円に、肉用牛とサトウキビの増加見込み額を合わせた約97億円を単純合算すると1千億円を超える見通しだ。

 その他の品目はまだまとまった試算がないが、県のまとめによると15年の産出額3位の豚は、16年のと畜頭数が1・4%増の31万6635頭に増加しており、産出額の増加が期待される。4位のキクや6位の生乳、8位のマンゴーは産出額の減少が見込まれるものの、農業関係者の間では産出額全体を大きく引き下げるほどではないとの見方が強い。

 16年の正式な農業産出額は、沖縄総合事務局が取りまとめて12月に発表する。(知念征尚)