【ハワイ=当銘千絵】1945年の沖縄戦で米軍の捕虜となり、移送先のハワイで亡くなった県人12人を弔う慰霊祭が4日(日本時間5日)、オアフ島ホノルル市の慈光園本願寺で開催された。ハワイでの県人捕虜を弔う慰霊祭開催は初めて。元捕虜の渡口彦信さん(90)=読谷村=と古堅実吉さん(87)=那覇市=をはじめ、亡くなった12人や沖縄に帰還した捕虜それぞれの遺族、県系人など200人以上が参列した。参列者は戦没者の冥福を祈るとともに、世界の恒久平和を誓った。
慰霊祭は同慰霊祭実行委員会(渡口彦信、高山朝光共同代表)が主催。県からは浦崎唯昭副知事が参加した。
渡口さんは追悼のあいさつで「魂が今もハワイにさまよっていると思うと、胸が締め付けられる」と積年の思いを語った。日本で2016年に施行され、遺骨収集を政府の責務と明記した「戦没者遺骨収集推進法」にも触れた上で、不明遺骨の早期収集に官民一体となって取り組む必要性を訴えた。
亡くなった12人のうち、故・久手堅憲保さん(享年33)のおい、久手堅憲吉さん(68)=浦添市=が遺族代表であいさつした。久手堅さんは「このような慰霊の機会を持っていただき、心に刺さったとげが一つ取れたような気持ちになっている」と語り、慰霊祭開催に尽力したハワイと沖縄の関係者に感謝した。
浦崎副知事は翁長雄志知事のあいさつを代読し「私たち県民はこの事実を厳粛に受け止め、世界の恒久平和の実現にまい進することを誓います」と述べた。
慰霊祭の前に参列者らは、亡くなった12人が埋葬されたとされる米陸軍施設スコフィールド・バラックやサンドアイランド捕虜収容所跡地など、ゆかりの地を訪問した。
各地を回った参列者らは、異郷の地で米軍に使役させられ、望郷の念を募らせながら亡くなった捕虜の体験に思いをはせ、平和と鎮魂を願った。