甘藷バイオ苗誕生 南農生、2年かけ品種改良 イモ収量増期待


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バイオ苗をぐしちゃん芋生産組合のメンバーらに寄贈した南部農林高校生物資源科の生徒ら=5日、八重瀬町具志頭のみなみの駅やえせ

 【八重瀬】サツマイモ(甘藷(かんしょ))の病害虫のまん延や品種退化を防ごうと、南部農林高校(新垣博之校長)生物資源科のバイオテクノロジー部はこのほど、2年がかりでイモのバイオ苗を完成させた。八重瀬町具志頭のみなみの駅やえせで5日、贈呈式が行われ、バイオテクノロジー部の部員がぐしちゃん芋生産組合の安里美津男代表らに24鉢を手渡した。

 甘藷は、長年同じ芋づるから苗を取って栽培すると病害虫の流行や品種の退化などで収量が低下する。改善するには、植物が活発に活動する茎の先端の0・3~0・5ミリほどの成長点を摘出し、培地で培養したバイオ苗の導入が必要だという。南部農林の生徒が安里代表の畑で実習体験をしている縁で2年前、安里代表が同校にバイオ苗の育成を依頼した。

 バイオテクノロジー部は一時休部していたが、3年前に活動を再開した。現在部員は生物資源科の1年から3年までの7人。放課後や休日などに調査研究や聞き取り、実験などに熱心に取り組み、2年がかりでバイオ苗を完成させた。

 部長の糸数鈴花さん(18)=3年=は「2年間イモの研究をしてきたが、私たちが作った苗が地域に貢献でき、作って良かった。農家の所得向上と八重瀬町の活性化を目指してこれからも地域と連携して頑張りたい」と話した。

 安里代表は「病気も汚染もされていない苗なので、いいイモを作って生産増につなげたい。11月、12月には豊年満作だと思う」とお礼を述べた。

 バイオテクノロジー部の顧問の生物資源科の徳永公男教諭は「バイオ苗を作り、将来的にはブランド化したい」と抱負を語った。(豊浜由紀子)