沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」(具志堅隆松代表)は22日、浦添市社会福祉センターで戦没者遺骨のDNA鑑定の集団申請に向け、「戦没者遺骨を家族の元へ 6・22沖縄集会」を開いた。前日までの受け付け分も含めて22日時点で集団申請者は約50人となった。第1次締め切りを7月10日に設定し、7月上旬に1回目の集団申請書を厚生労働省に提出する。軍民や国籍、場所を超えて鑑定を促す。
集会には遺族や関係者ら約50人が参加し、この日、32人が集団申請を希望し、書類を出した。ガマフヤーは今後も鑑定希望者を募り、継続的に集団申請を重ねる方針だ。具志堅代表は軍民、国籍を超え「DNA鑑定すべき遺骨はたくさんある。多くの遺族が参加してほしい」と呼び掛けた。
沖縄戦の戦没者遺骨のDNA鑑定では、遺留品なども判断材料としながら身元を特定したのは過去に4例ある。いずれも軍人・軍属で民間人の事例はない。
2016年3月の戦没者遺骨収集推進法成立を受け、厚生労働省は那覇市真嘉比、西原町幸地など4地域で見つかった遺骨のDNA鑑定を実施した。その際、日本軍の部隊記録から軍人・軍属の死亡場所を推定し、該当する遺族に鑑定への参加を呼び掛けたが、身元は特定されていない。
厚労省は17年度、沖縄戦の激戦地など10地域から見つかった遺骨の身元特定に向け、DNA鑑定への参加を呼び掛ける方針だ。従来のDNA鑑定申請が軍人・軍属の遺族に偏っていたことから、ガマフヤーは軍民、国籍を問わず、希望する全遺族を鑑定対象とするように求めている。
具志堅代表は、非戦闘員である民間人が地上戦に巻き込まれ犠牲となった沖縄戦の特徴に触れ「遺骨を収集し、身元を特定するのは国の責任だ」と力説する。
DNAの対象とすべき遺骨が今も県内の慰霊塔や納骨堂に収められていると指摘。「(県の)仮安置所にある約700体に加え、ことし南北之塔から移された約600体を合わせ、計約1300体の遺骨があるはずだ。(身元不明の戦没者遺骨を集めた)魂魄(こんぱく)の塔にも遺骨があり、まだ数えられていない」と話し、速やかなDNA鑑定を求めた。
集団申請に関する問い合わせはガマフヤー(電話)090(3796)3132。