知念さん「平和の詩」記念碑に 「みるく世」願い込め


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
建立された碑の前で「みるく世がやゆら」を朗読する知念捷さん=25日午後、うるま市具志川の具志川アシビナー

 【うるま】戦後70年の2015年に「児童・生徒の平和メッセージ展」で最優秀賞を受賞し、沖縄全戦没者追悼式で朗読された詩「みるく世がやゆら」の記念碑がうるま市具志川の具志川アシビナーに建立された。「慰霊塔改修・『平和の詩』記念碑建立委員会」が25日、記念碑の建立記念式典と慰霊祭を開いた。作者の知念捷(まさる)さん(19)=東京在住、大学生=は具志川区の出身。記念式典で「後世に戦争の記憶を伝え、平和を築く、みるく世への懸け橋となることを祈ります」と願いを込めた。参列者は日露戦争や沖縄戦などで亡くなった字出身者271人の冥福を祈った。

 「平和の詩」が記念碑として建立されるのは県内で初めて。記念碑建立委員会の実行委員長を務める知念恒男元うるま市長(77)は「金武湾を一望し、風光明媚(めいび)な由緒あるアシビナーに建つ。平和を希求するウチナーンチュの思いを未来へつなぐ発信地にしていただきたい」とあいさつした。

 詩は、認知症を患った祖父の姉が戦争で失った夫を想起する姿を描写し、沖縄戦の記憶の継承を訴えている。1年前に碑の建立計画が決まり、区民や区出身の海外移民、企業などから寄付を受けて完成に至った。

 慰霊塔は1947年に具志川グスクに建立され、57年に現在のアシビナーに移転した。今回、慰霊塔の改修も行われ、追加刻銘と併せて平和の詩の記念碑が建立された。

 戦争で亡くしたきょうだい3人が慰霊塔に追加刻銘された比嘉幸徳さん(76)は東京から参列した。「ずっと平和であるように願った。きょうだいも具志川に戻って安堵(あんど)するだろう」と述べ、冥福を祈った。

 慰霊祭では、遺族代表として義田充さん(81)が「ありったけの地獄を集めたと言われる戦争で、多くの県民の命が奪われた」と述べ、戦没者に手を合わせた。