高校野球の第99回全国選手権沖縄大会第5日は25日、コザしんきんスタジアムと宜野湾市立野球場で1回戦4試合を行った。北山が九回裏のサヨナラソロ本塁打で那覇工業を2―1で下し、沖縄高専は10―5で南風原を破って3年ぶりの初戦突破を果たした。昨年、甲子園に出場した嘉手納は首里東に7―4で逆転勝ちし、宜野座は2投手の継投で名護商工を6―0で完封した。この日で1回戦全試合が終了した。大会第6日は7月1日、北谷公園野球場など3球場で2回戦8試合を行う。
◆伏兵内間 劇的初アーチ
グラウンド上の選手や審判だけでなく、観客全員が左翼スタンドに吸い込まれる打球に目を奪われた。遅れて歓声と落胆の声が球場に響く。1―1の九回裏。1死走者なしで打席に立つ北山の8番、内間祐輔が「延長にはさせない」と放った打球がサヨナラ本塁打となり、試合を決した。
劇的勝利の瞬間までは、耐える時間が長く続いた。先制は五回、内間が三塁線を抜く鋭い左前打で塁に出ると暴投を見逃さず二塁へ。9番玉城睦海の安打で1死一、三塁とし、ここで1番友利義正がスクイズを決めた。相手投手前に転がり「一瞬やばいと思った」が、内間が素早く本塁に飛び込んだ。
この1点以外は打線が攻めあぐねる中、エースの平石皐が粘り続けた。秋季大会中の腰椎分離症により春から再登板した平石が、低めに集めた投球で打ち取った。足がつりかけて力が入らなかった七回、四球から犠打と適時打で1失点を許す。それでもベンチからの声掛けで落ち着き、腕を振ることを意識して、7個目の三振で相手打線のつながりを断ち切った。
接戦の幕を引いた本塁打は、内間の野球人生で公式戦初の一打だ。「相手投手は変化球の後に直球がきていた。直球がきたら全力で打つって感じでした」と振り返る。本塁打の余韻も残るが「自分には8番が合ってる。北山の上位と中軸は皆が打つので、自分は下位からもつなぐのが仕事です」と、役割に徹する意気を見せた。(嘉陽拓也)
<きのうの結果>
▽1回戦
嘉手納 7―4 首里東
宜野座 6―0 名護商工
沖高専 10―5 南風原
北山 2―1 那覇工