琉球アスティーダ 闘志 卓球日本リーグ1部参戦


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県社会人選手権大会に出場した小澤吉大=沖縄市の県総合運動公園体育館

 卓球の沖縄県内クラブチーム・琉球アスティーダは、日本最高峰の日本リーグ1部に11月から初参戦する。クラブチームでは全国初の1部昇格だ。「沖縄から世界へ!」を掲げて発足から4年。1部の1試合は11月にホーム開催が決まっており、県内の盛り上がりも期待される。外間政克監督は「厳しい戦いになるが、ホーム戦には多くの観客に来てほしい」とメンバーへの奮起も促す。新加入で昇格の原動力となったドイツ・ブンデスリーガ2部で活躍する22歳の小澤吉大も県内大会に出場するなど、アスティーダの一員として1部参戦への思いは熱い。(石井恭子)

■若手補強で力

 大会前、五輪メダリスト・福原愛の夫でリオ五輪台湾代表の江宏傑(28)(ジャン・ホンジェ)や、ドイツのハノーファーでプレーする小澤、岐阜国体8強の田中裕貴(22)らエース級若手を補強して6月の前期松江大会に臨んだ。結果は予選Bブロックを2位で通過し、上位順位決定リーグは4勝1敗。得失点差で2部1位に輝き、目標にしていた1部自動昇格を決めた。

 江はシングルス6勝2敗で最高殊勲賞を獲得、小澤は久住昭博と大会当日に組んだ急造ダブルスで7勝1敗、シングルスは3勝1敗と大車輪の活躍ぶりだった。アスティーダの躍進は県外出身・在住の選手に頼る形だが、外間監督は「いつか県内育ちのジュニアがアスティーダに加わり、世界へ飛躍する選手に育ってほしい」と期待する。

■勝利の立役者

 京都出身の小澤は、大阪桐蔭高卒業後にドイツに渡った。世界大会男子ダブルスで準優勝した森園政崇など、世界トップが集まる伝統のブンデスリーガ(毎年9月~4月)2部でユーリッヒやハノーファーでプレーする。「美ら島高校総体以来」という沖縄に、第41回社会人選手権出場のため来県し、18日には男子一般を制した。

 小澤は前期大会でチーム唯一の黒星となった2部リーグブロック予選の初戦・フジとの対戦を苦い思いで振り返る。左利きを買われ、試合当日の午前中に久住とダブルスを組むことが決まった。「正直貢献できるのか、不安で仕方なかった」。単複とも落としたが、ベンチから「次から頑張ればいい」と気軽に声を掛けられ、楽になった。

 その後は小澤が後ろで相手の嫌なコースを突いてミスを誘い、前で久住が攻める戦型で、破竹の7連勝。「必ず三つ目でダブルスを取ってくれるのはすごく大きい」(外間監督)。大会を通し、勝敗の鍵を握るダブルスの精度を上げた。

 3勝1敗だったシングルスも「楽な試合はなかった。江さんだけじゃなく、チーム層の厚さを見せられた」。上位決定戦初戦では、Aブロック1位のトヨタ自動車のエースと初っぱなから対戦。遅いボールでペースを乱されカウント0―2、崖っぷちの5―10からあえて正面対決をせず「流して」挑み、3―2で大逆転した。

■未来へつなげ

 県卓球協会の当真嗣秀理事長は「よく頑張った。頑張れば1部に行けるというのが小中高生の大きな刺激になる。沖縄から国内外で活躍する選手を育てるという目標に向かい、少しずつでも前進している」と多方面への影響を喜ぶ。

 日本リーグ後期京都大会は京都ハンナリーズアリーナで11月15日から19日まで行う。入れ替え戦が未実施のため、県内で11月開催が予定されるホーム戦の詳細は未定だが、外間監督は「企業チームではない分、積極的に声掛けし、たくさんの人に試合を見に来てほしい」と意気込んでいる。

日本リーグ1部に昇格した琉球アスティーダの(左から)外間政克監督、熊田智幸、江宏傑、久住昭博、小澤吉大、田中裕貴、友寄隆也