沖縄の子の貧困、県民所得低さ要因 識者「雇用、教育支援を」


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 厚生労働省が27日発表した全国の「子どもの貧困率」が2015年時点で13・9%だったのに対し、沖縄県が同時期に独自調査した県内値は29・9%と2倍以上の高さだった。沖縄の子どもの貧困率が高い背景について、有識者は県民所得の低さを挙げ、雇用や子育て・教育費の支援策の必要性を指摘する。

 厚労省の「国民生活基礎調査」は無作為に抽出した地域の世帯へ調査票を配布し、回答を各世帯から回収する形式。これに対し、県は各市町村が持つ住民の世帯構成や収入データなどを基に子どもの貧困率を算出し、手法の違いがある。

 子どもの貧困問題に詳しい名寄市立大学(北海道)の山野良一教授は「厚労省の調査では低所得の人が調査に応じていないことが考えられる。沖縄の方が正確に(貧困率が)出るはずだ」と指摘。沖縄の貧困率が高い背景については「沖縄は特に男性の所得が本土と比べ、非常に低い。(非正規社員を)どう正規雇用へと改善していくかが課題だ」と分析し、子育てや教育に必要な経費を支援する仕組みが必要だと強調した。

 県子ども総合研究所の堀川愛所長も、沖縄の高い子どもの貧困率の背景に「低所得」を挙げた。自身も5児の母で「お母さんから『子どもと一緒に遊びたいけど、仕事があって過ごせない』という声を聞く。生活が厳しいからぎりぎりまで働いている。所得に関する施策を打たないと危ない」と訴えた。

 県子ども未来政策課の喜舎場健太課長は「県内の状況としては県が15年に独自調査した29・9%という結果が歴然としてある。改善しているかは定期観測を続けなければ分からない。県内の厳しさをあらためてかみしめて、対策を進める必要がある」と述べ、県内の貧困率改善に継続して取り組む考えを示した。