設立準備委員会が編集・発行したパンフレット

 日本初となる国立自然史博物館の沖縄設立を提言した日本学術会議の自然史科学研究者有志が、実現へ向けた活動母体となる「国立沖縄自然史博物館設立準備委員会」を立ち上げたことが3日、分かった。市民ほか政財界に広く周知する考えで、設立の意義や必要性をまとめたパンフレット「日本で初めての国立自然史博物館を沖縄に」も作成した。当初構想案から60年を経て、国立沖縄自然史博物館の実現に向け、大きな一歩となりそうだ。

 日本学術会議は政策の提言機関ではあるが、実現するための機能や組織を備えていない。提言書をまとめた日本学術会議動物科学分科会委員長で準備委員会事務局の岸本健雄お茶の水大客員教授は「準備委員会は提言を具現化するための活動母体」として、学術的な観点から国立自然史博物館設立の意義や国際的影響力などを各方面へ周知していく意向を表明した。


  岸本健雄氏

 日本学術会議が提唱する博物館は、自然史標本やデータを収集・保存する総合的な研究機関で、日本とアジアを結ぶ国際的な研究・交流拠点の役割も果たす。北米や欧州ではそれぞれ国立の自然史博物館があり、南北アメリカやヨーロッパ、アフリカの各大陸の自然史研究を先導している。一方、東・東南アジアは自然に恵まれ、多様性の宝庫であるにもかかわらず、自然史博物館がなく、研究の“空白地帯”となっているため、自然史科学研究者の間では約60年前からたびたび、設置構想案が出ていた。

 岸本さんは当面の課題について「地元沖縄で設立に向けて各界の総意を形成する必要がある」とし、沖縄21世紀ビジョン基本計画にのっとり「県が主体となって政府へ誘致を働き掛けることが望ましい」と訴えた。

 昨年6月に日本学術会議から提言書を手交された翁長雄志知事も、県への誘致に前向きな姿勢を示している。

 国立自然史博物館を巡っては実現すれば経済効果も期待できるため、八重山や本島北部3村が推進会議を発足するなど誘致合戦が繰り広げられている。(当銘千絵)