沖縄県産黒木、不戦の証し 宮沢和史さん、琉球大で講演


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 第93回琉大21世紀フォーラムが6月29日、西原町の琉球大学法文学部で開かれた。今回は音楽家の宮沢和史さんが「この島の未来を語ろう~黒木(くるち)と民謡(うた)と三線と~」と題して講演した。三線のさおの原料である黒木(和名・リュウキュウコクタン)を100年がかりで育て、その黒木で作った三線を奏でる「くるちの杜(もり)100年プロジェクト」の活動について話した。

 初めに宮沢さんは代表曲「島唄」ができるまでを語った。「沖縄を巡った時、ひめゆり資料館やチビチリガマなどを見て回った。沖縄戦のことを全く知らなかった自分に恥ずかしさを感じた。沖縄のことを知らない人が本土には多くいる。その人たちに伝えたい思いで“島唄”を広めた」と振り返った。

「くるちの杜100年プロジェクト」について語る宮沢和史さん(左)=6月29日、西原町の琉球大学法文学部

 黒木との関わりについて「ある三線店の人に、島唄がヒットしたことで黒木の輸入が増えたと聞き、罪悪感を感じた。自分に何かできないかと、県産黒木の植樹に目を付けた」と話した。

 2012年に「くるちの杜プロジェクト」を立ち上げ、実行委員会を中心に植樹と管理に当たっている。「三線の材料になるまで100年。100年後に『くるちの杜』ができ、県産黒木の三線ができれば、この島はその間、戦争が無かった、戦争をしなかったと証明できる。その思いで育てていきたい」と熱く語った。

 講話終了後、自ら制作した三線で「島唄」を演奏。聞きに来た参加者は宮沢さんの熱のある声と三線の音色に酔いしれた。

 宮沢さんと共にプロジェクトに携わっている県文化振興会前理事長の平田大一さんや県三線製作事業協同組合の仲嶺幹さん、琉球大学農学部の谷口真吾教授によるパネルディスカッションも行われた。

英文へ→Kazufumi gives a lecture at Ryukyu University about producing Okinawan Kuruchi and avoiding war