東さんに日肖写賞 沖縄県内19年ぶり 「ポートレートを身近に」


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グランプリを受賞した「タナカと少女」

 【名護】6月5日に東京で行われた第70回日本肖像写真家協会展(日肖写展)で、写真家の東邦定さん(68)=名護市=が応募100点の中からグランプリ(日肖写賞)を受賞した。沖縄県内からの受賞は19年ぶり2人目の快挙。日肖写展は1948年から毎年、開かれており、全国から肖像写真を得意とする写真家が参加する。東さんは「ポートレート(肖像写真)を身近にするために今後も励みたい」と笑顔を見せた。

 受賞作は「タナカと少女」。東さんが3年前にミャンマーの農村で撮影した。「タナカ」は木の樹脂を原料にしたミャンマーの化粧品。タナカの白さと真一文字に結んだ口、力強いまなざしが印象的な作品。

 23歳で写真家として活動を始めた。現在、県写真協会会長を務める。6年前からミャンマーを訪れ、市井の人々のポートレートを撮影している。「ミャンマーでは死と生が生活の中にある。人々の命の輝きを強く感じる」と魅力を語る。

 東さんは肖像写真に強い思いを持っている。「写真は思い出を閉じ込めるツールだ。何十年たっても、その写真を見ると一気によみがえる」。2011年に発生した東日本大震災。被災地を伝えるテレビ画面に衝撃を受けた。女性が涙を流しながら小さなL版写真を何度もなでていた。

 「全てを失った女性にとって写真が家族を記録した唯一の宝物だった。写真にはそういう役割があると再認識した」と振り返る。「人生の節目にポートレートを撮り、家に飾る文化を日本に根付かせたい。家族で写真を眺め、思い出をいつくしんでもらいたい」と話した。(佐野真慈)

英文へ→Photographer Azuma won the grand prize in Japan Portrait Photographer’s Association contest