経済

「はいたいコラム」 共有が生んだオリーブ牛

 島んちゅの皆さん、はいたい~! 瀬戸内海に浮かぶ香川県の島、小豆島へ行ってきました。小豆島といえば、明治から100年以上の歴史を誇るオリーブ生産でも知られますが、今回のテーマは「オリーブ牛」! オリーブを生かして香川県が世界へ発信するジャパンブランド和牛です。

 「オリーブ牛の神様」と称される肥育農家の石井正樹さん(67)を訪ねました。島の棚田(たなだ)を眺めながら山の中腹へ車で上っていくと、10頭のオリーブ牛がのんびり牛舎でくつろいでいます。

 オリーブ牛とは、オリーブオイルの製造過程で出た搾りかすを2カ月以上飼料として与えた黒毛和牛のことですが、そもそもの始まりは、島の畜産部会長をしていた石井さんが、肉質をよくするオレイン酸がオリーブに豊富に含まれていることを知ったことでした。

 なにしろオリーブの島です。素材なら廃棄に困るほどあるわけです。しかし、そのまま与えても渋みがあり、牛が食べてくれません。石井さんは試行錯誤を重ね、潮風と天日で乾燥させて渋みを抜く方法を発見したのです。するとどうでしょう~! 牛がこぞって食べるようになり、肉質も脂も劇的に向上したそうです。「オリーブ粕(かす)の飼料化技術と地域ブランド化の推進」が評価され、石井正樹さんは2014年、農林水産大臣賞を受賞されました~!

 石井さんが神様と呼ばれる訳は、この飼料化技術を県全域の畜産農家に公開したことです。功績を独占せず、オープンにしてくれたおかげで香川県ブランドは生まれたと、県の畜産関係者は誇らしげに話してくれました。

 10年度に100頭から始まったオリーブ牛は今、2千頭以上に拡大し、輸出もしています。高松のホテルで頂いたオリーブ牛ステーキは、きめ細かな肉質でうまみとコクがあり、脂がすっと消えて後味はさっぱり。これぞまさにオリーブ飼料のオレイン酸の効果でしょう。

 瀬戸内海の温暖な気候風土が生み出したオリーブ牛。地域循環型のエコフィードはさらにオリーブ豚にも展開しています。時代はオープンデータ、オープンソース、オープンイノベーション! 知恵や技術は仲間と分かち合う方が社会に喜ばれます。独り占めよりみんなで共有すればもっと羽ばたける。小豆島の神様が教えてくれました。

(フリーアナウンサー・農業ジャーナリスト)

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小谷あゆみ(こたに・あゆみ) 農業ジャーナリスト、フリーアナウンサー。兵庫県生まれ。介護・福祉、食、農業をテーマにした番組司会、講演などで活躍中。野菜を作る「ベジアナ」として、農ある暮らしの豊かさを提唱、全国の農村を回る。

(第1、3日曜掲載)