世界初、氷小天体を探せ 若手研究者「オアシズ」 宮古島市で観測挑戦


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ユニークな観測手法を用いて、氷小天体の発見を目指す国立天文台の有松亘さん(左)と新中善晴さん=6月22日、宮古島市の県立宮古青少年の家

 【宮古島】地球から50億キロ以上離れた太陽系の外周にあるとされる「氷小天体」を観測するプロジェクト「オアシズ」が6月22日から、宮古島市の県立宮古青少年の家の屋上で始まっている。国立天文台や東北大、東京大、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若手研究者らが主体となって実施。氷小天体は水や有機物の起源とされ、惑星が誕生した際の材料になったと推測される。仮説では存在するとされるが、実際に観測されたことはない。ユニークな手法を用いて、世界で初めて氷小天体の観測を目指すプロジェクトだ。観測は8月上旬まで。

 研究班は光害が少なく、大気が安定している宮古島の環境が適していると考え、2016年度に宮古青少年の家で試験観測をした。その結果、氷小天体を発見できる可能性が高いと判断した。6月から2基の機器を設置して本格的に観測している。

 氷小天体は地球から遠い上に非常に暗いため、米ハワイ島にある「すばる望遠鏡」や宇宙にある「ハッブル宇宙望遠鏡」を用いても観測できない。研究班では望遠鏡に特殊なカメラを設置し、小天体が恒星の手前を横切り、周囲の光量が変化する瞬間を動画で撮影する。その際、宇宙空間に現れる独特な揺らぎを記録し、氷小天体を特定する計画だ。

 プロジェクトリーダーで、国立天文台天文情報センターの有松亘特別客員研究員(29)は「氷小天体の発見は太陽系の原始時代の様子を考える上で重要だ。世界初の発見を目指したい」と意気込んだ。屋上にテントを張って、少人数で夜間に観測する。