開業40年後も赤字 鉄軌道国調査、費用対効果は微増


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 【東京】内閣府は19日、2016年度に実施した鉄軌道導入に関する調査結果を公表した。事業採算性を示す費用便益費(費用対効果、B/C)は鉄道を導入した場合が0・64、トラムトレイン(専用軌道の路面電車)の場合が0・86となり、ともに前年度調査から微増したものの、事業化の目安となる1・0には届かなかった。開業後40年間の累積赤字は鉄道が3950億円(前年度比50億円増)、トラムトレインが1100億円(前年度並み)だった。

 15年度調査のB/Cは鉄道0・62、トラムトレイン0・84だった。16年度調査では那覇市の旭橋周辺などの開発プロジェクトや、各地で進むホテル進出計画などによる乗客増を見込み微増につながった。内閣府が調査を始めた10年度以降、B/Cは若干の改善が続いているが、依然事業化の目安水準を大きく下回り、開業後40年間でも黒字転換できない厳しい見通しとなっている。

 16年度は前年度同様、糸満―名護間について鉄道は国道330号を経由しうるま市を通るルートを、トラムトレインは国道58号を経由しうるま市へと続くルートを検討した。

 空港と那覇をつなぐ「空港接続線」を合わせた概算事業費は鉄道が6380億円、トラムトレインが2960億円。

 調査では従来の恩納村側を通るルートのほか、金武町~宜野座村を通る東海岸ルートについてもB/Cを算出したが、鉄道とトラムトレインともに従来ルートの場合を下回った。