沖縄の平均寿命、46位に 15年、長寿復活の道険しく 最下位は青森


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 2015年時点の平均寿命(男女平均)を東京大の渋谷健司教授(国際保健政策学)らの研究チームが独自の統計手法で算定した結果、沖縄は81・9歳で、1990年に比べて平均寿命は3・2歳上がったものの、都道府県別の順位は46位だったことが分かった。死亡率の減少幅は22・0%で全国最下位だった。厚生労働省が5年ごとに発表している平均寿命とは算出方法は異なる。東京大のチームが米ワシントン大の協力を得た新たな統計手法で算出した値が全国ワースト2位となり、健康長寿県の復活を目指す中で厳しい結果が示された。

 東京大のチームが20日に英医学誌ランセットに発表した研究結果で明らかになった。1990年から2015年の25年間で日本の平均寿命は4・2歳延びて全国的な健康状態は向上したが、都道府県別では格差が拡大した。

 東京大のチームでは格差の原因は詳しく分析できていないという。その上で食生活などの生活習慣以外に、「医療の質」や地域社会とのネットワークがあるかなどの「健康の社会的決定要因」が影響している可能性もあると指摘している。

 今後、自治体の健康関連予算や住民の意識との関係を調べる必要があるとしている。病気ごとの死亡率にも地域差があり、都道府県は地域の事情に応じた健康対策の推進が求められそうだ。

 チームは、国などが公表している死亡や病気に関する1990年と2015年のデータを独自に解析。全国の平均寿命は、25年間で79・0歳から83・2歳に延びた。ただ90年に最長の長野と最短の青森の差は2・5歳だったが、15年には最長の滋賀と最短の青森の差が3・1歳に広がった。

 健康上の問題がなく生活できる健康寿命も70・4歳から73・9歳に延びた。健康寿命に関しても、90年に最長の長野と最短の高知にあった2・3歳の差は、15年に最長の滋賀と最短の青森の間で2・7歳に広がった。

 医療の進歩を見るため、年齢構成の違いを取り除いた病気などの死亡率を算出すると、全国で29%減少。心臓病やがんの死亡率が下がったためだが、05年以降は減少のペースが鈍くなっていた。

 死亡率の減少は近畿や九州で目立ったが東北や沖縄は小幅で、減少幅が最大の滋賀(32・4%)と最小の沖縄で約10ポイントの差がついた。

 病気ごとの解析では、狭心症や心筋梗塞を含む「虚血性心疾患」の15年の死亡率は、最も高い埼玉が最も低い熊本の1・5倍。首都圏で高く、北陸や九州で低い傾向があった。気管支炎など「下気道感染症」の死亡率は、青森が長野の1・5倍だった。