エコ電力で水耕栽培 途上国へシステム供給目指す Kagurada(浦添)


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 水耕栽培機のシステム開発・販売などを手掛けるKagurada(カグラダ、浦添市)は、太陽光発電や海水淡水化装置などを組み合わせ、インフラ整備が整っていない国・地域でも年中水耕栽培が可能なシステムの開発に取り組んでいる。将来的に東南アジアなどの発展途上国や島しょ国に水耕栽培システムを広げようと、電気や水道がなくても安心・安全な野菜が収穫できる仕組みづくりに挑戦していく。

 カグラダが取り組む水耕栽培は、屋内型野菜育成機でレタスやホウレンソウなどの葉野菜を栽培する。育成機内に発光ダイオード(LED)を設置して、野菜の成長を促す。電力は太陽光や、生ゴミなどから発生するバイオガスを使って発電する。水は、海水淡水化装置や汚水浄化装置で海水、雨水などを浄水して栽培に活用する。さらに余剰の水を家庭の飲料水に活用できるほか、蓄電池に充電した電気も家庭で利用可能となる。

 カグラダが開発した屋内型野菜育成機は、フリルレタスを年間約1万2600株収穫できる。衛生面でも室内の成育環境のため細菌の付着レベルが低く、一般販売される生野菜の基準値の100分の1以下という数値が県環境科学センターの検査結果で示されているという。

 カグラダ代表の神楽(かぐら)田(だ)徳夫氏は、これまで国内外の大手電子機器メーカーなどで勤務し、約60カ国を訪れた経験がある。神楽田氏は「発展途上国などでは恵まれていない人がまだ多くいる。現地の人々の衛生レベルと生活の質向上に貢献していきたい」と述べた。

 カグラダは8月末に会社として正式に設立し、約10人体制で事業を始める。沖縄バイオ産業振興センター(うるま市)を研究拠点としていくことも視野に入れる。(呉俐君)