【本部】本部町備瀬にある岸壁の割れ目で、地元の聖地となっている「備瀬のワルミ」がパワースポットとしてネットや口コミで広がり、訪れる観光客に周辺住民が苦慮している。14日、ワルミにつながる土地の一部を所有する男性が、柵を立て観光客の立ち入りを制限した。地元からは「マナーを守ってほしい」と切実な声が漏れる。
立ち入り禁止の柵が立てられたのは、農道に面する私有地。地権者の男性から管理を一任されている熊本やすみさん(57)によると、ワルミの人気が高まるにつれ、違法駐車やゴミのポイ捨てが頻発した。
熊本さんは「狭い農道に自転車やレンタカーがたくさん入ってきて、道が通れないことや事故もあった」と困惑し、「駐車場など周辺が整備されて観光客のルールづくりが進めば、こちらも考えていきたい」と話した。
本部町や本部町観光協会はワルミを観光地と位置付けておらず、PRもしていない。観光協会によると、昨年度は本部町で年間480万人、備瀬だけで30万人の観光客が訪れた。町や観光協会には「いつ開放されるのか」「なぜ閉鎖したのか」という問い合わせが相次いでいる。ワルミに続く道の入り口が閉鎖されているため、別の場所から海側に回り岩場を歩いてきた外国人観光客の姿もあった。岩場は滑りやすく危険なため、事故につながる可能性もある。
備瀬の高良善久区長(70)は「ワルミは地元の人にとってウートートー(御願)をする大切な場所。観光化しないでほしいという声がある一方、これだけ観光客が増えると何らかの対応を取らないといけない」と頭を抱える。本部町観光協会の當山清博会長は「自然を守りながら周辺整備やルールを決め、発信できるようにしていきたい」と答えた。