レインボーなは宣言2年 相互理解へ施策紹介 市歴史博物館が初企画展


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多様性を表す七色の旗レインボーフラッグの前に立つ倉成多郎さん=那覇市久茂地の市歴史博物館

 那覇市が、性の多様性を尊重する「レインボー宣言」を発表してから7月19日で2年を迎えた。那覇市歴史博物館はレインボー宣言とその成立の背景、人権問題で独自の取り組みをしてきた那覇市の施策に焦点を当てた企画展「性の多様性を尊重する都市・なは宣言~その歴史と背景」を開催している。主任学芸員の倉成多郎さんは「社会にはさまざまな人がいるということを知ってもらうことが、相互理解の第一歩につながる」と話す。

 那覇市歴史博物館が「性」に関する企画展を催すのは初めて。館内ではLGBT(性的少数者)の当事者が日常生活の中で直面するさまざまな悩みなどをつづったパネルを展示。「トートーメー継承訴訟」「県庁職員の共働き退職勧告問題」など沖縄ならではの慣習に派生する、男女不平等に関する問題や、性の多様性を巡る市の取り組みなども紹介している。

那覇市の取り組みを紹介するコーナー

 「沖縄は地縁血縁が非常に濃い土地柄で、親族や周囲の目を気にして自分らしく生きられなかったり、周囲に知られた時の恐怖におびえたりしながら生活している人も多い」と倉成さんは指摘する。

 同性愛者の自殺率が異性愛者より6倍も高いという現状については「性的マイノリティーの問題は社会全体で考える必要がある」と強調。差別・偏見のない社会は「容易ではないし、時間もかかる」と前置きした上で「世の中にはいろんな人がいるということをまず知ってもらい、その次のステップとして個性が認められる風潮をつくり出すなど段階的なプロセスを経れば、必ず実現できると信じている」と訴えた。

 企画展は8月28日まで。5日午後2時からは、関連イベント「無意識に人を傷つけてしまわないために」を開催する。詳細は

http://www.rekishi-archive.city.naha.okinawa.jp/