オスプレイ飛行を強行 沖縄県、国に飛行中止要求 知事「国民守る気概あるか」


この記事を書いた人 大森 茂夫
オーストラリアで墜落事故後、飛行を強行する普天間飛行場所属のMV22オスプレイ=7日午後1時すぎ、普天間飛行場(花城太撮影)

 沖縄県の米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ1機が7日午前10時40分ごろ、同飛行場を離陸した。5日に普天間所属のオスプレイがオーストラリア東海岸で墜落した事故を受け、日本政府が米軍に求めていた飛行の「自粛」を無視して飛行を強行した形だ。日本政府は事実上黙認した状態で、県民の反発の声は一層強まりそうだ。

 離陸したオスプレイは宜野湾市の市街地や伊江村の伊江島補助飛行場、名護市辺野古で飛行したのが目撃された。7日午後1時すぎ、普天間飛行場に帰還した後は2度目の離陸は確認されていない。

 6日に米側に自粛を求めた小野寺五典防衛相は7日には「安全面に最大限配慮するよう求めていきたい」などと述べ、飛行を容認する発言をした。

米軍が日本政府の「自粛」要請を無視しオスプレイの飛行を強行したことについて批判する翁長雄志知事=7日午後6時すぎ、県庁

 県は7日、県庁に外務省沖縄事務所の川田司大使、沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長を呼び抗議し、事故原因が究明されるまでの飛行中止を求めた。

 宜野湾市は安全が確認されるまでの飛行停止を求めた。佐喜真淳宜野湾市長は「日本政府は自粛してもらいたいと再度要請するべきだ」と求めた。

 翁長雄志知事は7日、日本政府の飛行自粛要請を無視する形で在沖米軍がオスプレイの飛行を強行したことについて「日本政府には当事者能力がない。国民を守る気概があるのか」と述べた。墜落という重大事故にもかかわらず日本政府が「自粛」要請にとどまり、事実上、飛行再開を黙認している状況を厳しく批判した。米軍に対しても「ある意味、自由自在という状況だ」と語り、県民の不安を無視して県内を飛び交う姿勢に怒りを示した。

 5日に豪州東海岸で発生した墜落事故については「起こるべくして起きた」と指摘。普天間飛行場所属のオスプレイが、昨年12月の名護市安部沿岸部への墜落以降も緊急着陸など不具合が相次いでいることに触れ「とんでもない飛行機だ。原因究明も全くあてにならない」と述べた。過去の事故の詳細な原因究明もされぬままに運用され続けていることについて、政府の弱腰な対応を批判した。