事故で大けがの番犬シロ 沖縄市の宮里夫妻、献身介護で救う


この記事を書いた人 平良 正
シロを献身的に支える宮里文雄さん(左)と八重子さん。庭の犬小屋は8畳あり、文雄さんの手作り=沖縄市比屋根

 【沖縄】後ろ足を車いすに乗せ、前足で元気に庭を走り回るのは、沖縄市比屋根に住む宮里文雄さん(69)、八重子さん(62)の夫婦が飼う雑種犬のシロ(雄、推定8歳)だ。もともとは近所の資材置き場の番犬だったが、4年8カ月前の交通事故で下半身不随となった。引き取った宮里夫婦の献身的な介護でシロは死の危機を乗り越えた。2人は「すごい生命力だ」と目を細める。

 宮里夫妻とシロとの出合いは約7年前。資材置き場で盗難防止に活躍していたシロを、犬好きの八重子さんが気に入り、毎日のようにかわいがっていた。

 しかし2年ほどが過ぎた2012年11月、資材置き場にシロの姿が見えない。翌日も、その翌々日も姿が見えず「どこかで交通事故にでも遭ったのか」と心配になった八重子さん。動物愛護のホームページで保護情報を調べると、北中城村の車道でひかれ、擦り傷だらけのシロの写真が掲載されていた。事故のため背骨も折れていた。その時、2人はシロを引き取った。

 2人にとって、犬の介護は初めての経験だった。シロは自力で尿を出せないため、毎日3回カテーテルで採尿する。今は1回15分でできるが、初めの頃は1時間もかかった。また事故のため後ろ足が動かず、後ろ足と腹部が床や地面で擦れ炎症を起こすことも多く、毎月のように病院に連れていくという。

 八重子さんは「(引き取ったことを)後悔する暇もないくらい目まぐるしかった」と振り返る。

 それでも献身的に支える理由は「シロが好きだから」(八重子さん)。今では夫婦とも、力強く生きるシロの姿に元気をもらっている。文雄さんは「シロ中心の生活を送り、長い時間を過ごしてきた。私たちの大切な家族だ」と愛情たっぷりに話した。

 夫婦に愛されるシロの表情は、元番犬とは思えないほど、穏やかに見えた。