興南、勝利へ万全 きょう智弁和歌山 夏の甲子園


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 【甲子園取材班】第99回全国高校野球選手権大会第4日の11日、第3試合(午後1時開始予定)で和歌山代表の智弁和歌山と初戦を戦う興南は10日、大阪市の大阪シティ信用金庫スタジアムで練習し、初戦突破に向け攻守の動きを再確認した。智弁和歌山は甲子園歴代1位の勝利数を誇る高嶋仁監督の下、投打のバランスの良いチーム。好投手をそろえ、沖縄大会6試合で5失点と堅い守りで勝ち上がった興南が抑えられるかが試合の鍵を握る。試合前日のこの日興南は、バントやカバーリングのほか、走者がいる際の攻め方など、さまざまな場面を想定し総点検した。

走者を想定した練習を行う興南ナイン=10日、大阪府の大阪シティ信用金庫スタジアム(具志堅千恵子撮影)

 相手監督が注目しているのが興南の川満大翔と宮城大弥の両左腕だ。川満は直球を中心に40球を投げ、全球種を確認した。智弁和歌山に対し、「切れ目のない打線だがそれぞれに弱点もある」と分析。「まっすぐでカウントが取れれば抑えられる。大観衆の中でもしっかり攻め、締まった試合をしたい」と自信をのぞかせる。宮城は25球を投げ、「相手に対しての意識も高まり、ストライクが良く入った」と上り調子を実感。「どの打者に対しても持ち味の強気の投球で抑えたい」と力を込めた。

 右の上原麗男は30球を投げた。低めを意識した変化球がショートバウンドするなど制球に苦しむ場面もあり、「思ったような投球はできなかったが調子が悪いわけではない」と本番に向けての感覚はつかんでいる。打線では3番を担い、三塁手も兼ねる。「守備では失策0、打撃ではチャンスをつくり、そしてものにしたい」と意気込んだ。持ち味の制球力が戻り、直球の勢いも増した左の藤木琉悠も「緊張すると思うが声援を力に変えたい」と聖地での本番を見据えている。

 我喜屋優監督は現地入りから9日間、「あらゆる場面を想定し、やるだけやってきた」と振り返る。「攻撃では出る、進める、返す。守備では進めない、返さないという、基本に忠実な興南の野球をするだけだ」と強調。「早く自分たちのペースに持ってこられるかが大切だ」と初戦に向けて気を引き締めた。

<見どころ>鍵握る 左腕 川満、宮城

(左から)実戦同様に投げ込む宮城大弥、全球種を確認した川満大翔

 左右の4投手を中心に堅守で勝ち上がった興南と和歌山県大会5試合で61安打、4本塁打と高い打撃力を誇る智弁和歌山。互いに試合の主導権を握るため、先制点を狙う。

 興南は3週間以上、実戦から離れており、立ち上がりが肝心だ。早い段階で自分たちのペースをつかみたいところだ。

 智弁和歌山はチーム打率3割9分9厘で、打線に切れ目がない。準々決勝までの3試合で2桁得点を挙げてコールド勝ち。一方、決勝は接戦を制するなど、終盤に集中力もある。打率6割2分5厘の4番・蔵野を中心に、5割8分8厘の2番・森本、4割7分1厘の3番・林など、中軸に強打者がそろう。

 興南は左の川満、宮城、藤木と右の上原の4投手で臨む。先取点を狙う智弁和歌山打線を序盤から抑えられるかがポイントになる。

 智弁和歌山は和歌山大会で右の平田と左の黒原を中心に左右2人ずつ、計4人で継投してきた。興南は持ち味の違う投手を早い段階で攻略できるか。沖縄大会後も修正を重ねてきた出塁率を高める打撃法で打線をつなげ、投手陣を助けたい。