MICE開業半年延期 一括交付金決定遅れ、目標20年度末に


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 沖縄県は14日、西原町と与那原町にまたがる中城湾港マリンタウン地区に建設する大型MICE(国際会議や企業の報奨旅行など)施設の利用開始目標時期を、2020年9月から20年度末までに先送りする方針を固めた。基本設計の財源である一括交付金の交付決定が遅れていることが要因。20年10月に県内で開催される世界最大級の観光総合見本市「ツーリズムEXPOジャパン」は、沖縄コンベンションセンターや既存の施設を使うことになる。

 県は今週中に、20年度に利用を開始するための工程などを改めて確認した上で、今後のスケジュールを翁長雄志知事、富川盛武副知事と調整する。

 今年4月に落札決定した施設整備や運営事業者との契約は、一括交付金交付決定後に取り交わすことになっているため、現時点で契約はしていない。

 県の当初計画では17年夏に基本設計、17年度内に実施設計を終え、18年度に着工する予定だった。基本設計には3カ月を要するとされ、一括交付金の交付が年内に決定する見込みは薄いことから、基本設計と実施設計が18年度にずれ込む可能性がある。20年9月の利用開始を目指すには、18年度当初に工事に着手しなければならず、設計の遅れから開業目標時期も後ろにずれる。

 県は8月から県議会会派や県内全市町村に大型MICE施設をはじめMICEの経済効果を説明している。今月中に全市町村への説明を終え、市町村の理解を得て国への要請の後押しにつなげる狙いだ。

 12月までに県民向けにMICE振興に関するパンフレットを作製し、意見公募も検討している。

 政府から指摘を受けていた施設の採算性について、県は展示会の応募や催事件数の裏付けを基にした分析を行い、周辺にもホテル企業11社から投資の検討があると説明してきた。国から指摘を受けなくなったことから、採算性の説明はクリアしたとみている。
(玉城文)