ヤンバルクイナの捕食被害増 野生犬猫の影響拡大か


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 【北部】ヤンバルクイナが犬や猫など肉食動物に捕食される被害が2015年の1年間で17件と、調査を始めた2005年以降で過去最多となった。16年は7件と減少したものの、クイナの死骸の数からNPO法人どうぶつたちの病院沖縄の中谷裕美子獣医師は、死骸が路上で見つからず山中にとどまったり、丸ごと食べられたりしている可能性を指摘。実際の捕食数はさらに増加傾向にあるとみられる。希少種が犬や猫に捕食されている実態が浮かび上がった。

 ヤンバルクイナの死骸をどうぶつたちの病院沖縄と国立環境研究所で調べ、死骸から犬や猫のDNAが検出された。検出が不可能な場合は、かみ痕などから犬や猫といった肉食動物(食肉目)の可能性が高いと判断している。

 調査の結果から、11年には1件だった犬による捕食が13年は4件、14年からは3年連続で5件発生している。

 どうぶつたちの病院沖縄の中谷獣医師は、16年が7件と減っている背景について「死骸はほとんどが路上で見つかっているが、路上での捕食はごく一部でしかない。16年以降は、死骸が残らないほど丸ごと食べられている可能性がある」と指摘した。

 本島北部では野生化した犬(ノイヌ)の目撃情報が2013年ごろから増加。県の調査では少なくとも62匹のノイヌや47匹のノネコがやんばるに生息しているとみられる。(阪口彩子)