動物への影響調査検討 北部訓練場周辺 鳥類など対象


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 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛来が周辺に生息する鳥類やコウモリなど野生動物へ与える影響を把握するため、沖縄県が東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場周辺で騒音調査の実施を検討していることが15日までに分かった。実現すれば、動物を対象とした米軍機起因の騒音調査は全国で初となる。北部訓練場内への立ち入りが制限される中、事業の有効性などを含め現在、県自然保護課内で詳細を検討しており、予算については11月議会にかける予定。調査期間は約2年を想定し、早ければ来年2月にも開始する見通し。

 県によると調査の対象候補は、鳥類やコウモリなど音に敏感な生物。騒音の影響があるオスプレイの飛行ルート上の5地点と、ルート外で比較的静かな5地点の計10地点を対象に、騒音の影響を受けた状態とそうでない時の分布や生息状況などを比較する。

 低周波音を含む騒音が野生動物に与える影響については、昨年8月に共産党の渡久地修議員らがオスプレイが飛行訓練する宜野湾市喜友名、東村高江、宜野座村城原で聞き取り調査を行った際にコウモリの激減が確認されたとして、県に「オスプレイ飛行の鳥獣影響調査」の実施を要請していた。

 県の担当者は、やんばる地域は世界自然遺産の候補地で、そこに生きる動植物は保護すべき貴重な自然環境であると認めたが、調査については「現時点ではまだ調整段階だ」と述べるにとどめた。(当銘千絵)