北部訓練場、返還後に環境負荷増 米海兵隊計画で指摘


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 米海兵隊が2014年に作成した「自然資源・文化資源統合管理計画」の中で、米軍北部訓練場の一部返還後の訓練の影響について、これまでと同等の訓練がより狭い地域で実施されるため、環境への負荷が増大する可能性があると指摘していたことが3日、分かった。北部訓練場の一部返還は「負担軽減」だと米軍や日本政府は強調してきたが、米軍は環境面では負担増となる見解を示していた。

 管理計画は米ジュゴン訴訟の原告でもある米国の生物多様性センター(CBD)が昨年9月に、情報公開法に基づき入手した。各基地で5年に一度作成され、軍事訓練が環境に与える影響と、その影響を最小限にとどめるための行動計画などが記されている。

 管理計画で米軍は一部返還により環境負荷が増大する可能性を指摘した上で、対応策については「動植物相を保護するために訓練地域をモニタリングし、さらに場所を定期的にかえることで土地を休ませることが重要である」と結論付けていた。

 ジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんは「米軍は軍事演習が環境に与える負荷を熟知した上で、問題を矮小(わいしょう)化している」と指摘した。

 管理計画を巡っては、伊波洋一参院議員が昨年9月に在沖米海兵隊に対し開示請求をしたが、提供までに5カ月かかり、多くの箇所が黒塗りだった。一方、CBDが米本国で請求した際には全て開示された。請求者によって開示内容が異なる二重基準があるとみられる。(当銘千絵)