降水量の少ない状態が続く中、沖縄県座間味村の阿嘉島・慶留間島の水源である阿嘉ウタハ堰(ぜき)の貯水率が6日現在、30・9%まで低下している。このまま少雨傾向が続けば水源が枯渇する恐れがあることから、村は6日、水道災害応援協定に基づき県企業局に移動型の海水淡水化装置の貸与を要請し、県企業局は貸与を決定した。村役場がある座間味島では、8月上旬から海水淡水化施設がフル稼働している。村は9月以降も観光シーズンが続いていることから、海水淡水化装置で両島民と観光客への配水量を確保する。
阿嘉島の水道用堰である阿嘉ウタハ堰の有効容量は5650立方メートル。阿嘉・慶留間両島の人口約300人と観光客の給水をまかなっている。それが現在、貯水率が3割にまで減少。給水制限は実施されていないものの、降雨が少ない状況が続くと10月中旬には水源が枯渇する見込みという。
今回、県企業局が貸し出す「可搬型海水淡水化装置」は、コンテナ型でトレーラーに乗せて移動が可能。1日に200立方メートルの海水を処理でき、1台で両島などの1日の配水量を賄うことができる。
海水淡水化装置は今月25日ごろに北谷町の保管場所から搬出し、船で運んで阿嘉漁港に設置する。29日から給水を開始し、阿嘉ウタハ堰の貯水率が90%台に回復するまで稼働させる。
可搬型海水淡水化装置は、2016年度の沖縄振興特別推進交付金(ソフト交付金)を活用し、県企業局が3月に2台を導入した。今回、初めて使用する。県内の各水道事業は、災害時の応援協定を締結。暴風や豪雨などのほか渇水などの際に、相互に迅速に応急処置を実施する体制を整える。