MICE予算一部削除へ 県、交付金保留受け 20年開業遅れ必至


この記事を書いた人 平良 正
大型MICE施設の建設が予定されている与那原町と西原町にまたがるマリンタウン東浜=2015年

 沖縄県が整備を計画する大規模な国際会議や展示会、コンサート会場などとして利用する大型MICE施設について、県は2017年度予算に計上していた関連経費のうち、実施設計分を減額補正し、工事の債務負担行為も削除する方向で調整に入った。7日の庁議で正式決定する見込み。県は20年9月の開業を目標に本年度中に実施設計まで終える計画だったが、政府が事業に対する一括交付金の交付決定を保留している事態を受け、当初計画通りの開業スケジュールは見直しに追い込まれる。

 県の当初計画では17年夏に基本設計、17年度内に実施設計を終え、18年度に着工する予定だった。県は基本設計分の予算だけは残し、その後に続く実施設計や工事に関する予算はいったん削除する。

 翁長雄志知事は引き続き政府に対し、MICE事業に関する一括交付金の早期の交付決定を働き掛ける方針。県幹部は「MICEを進める姿勢にはいささかも変わりはない」としており、基本設計の事業費が国に認められ次第、実施設計や工事の予算を再び計上したい考え。

 県はMICE事業について国の一括交付金を活用する予定だが、基本設計費の交付決定が不透明な中、仮に年度内に交付が決定しても、17年度内に実施設計まで終えるのは困難な情勢だと判断した。実施設計を終えなければ着工も難しいため、工事の債務負担行為も17年度予算からは削除する方向だ。

 MICE施設の整備について、翁長知事はスケジュール通りに開業するには8月末までの国の予算交付決定が「一つのめどとなる」としていた。だが8月中に交付決定はなく、また来年度の内閣府沖縄関係予算でも事業費が認められなかった。(島袋良太)