IoTでごみ回収効率化 KDDIと沖縄セルラーが実験 災害予防への活用も那覇


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IoTごみ箱の概要を説明するKDDIの原田圭悟ビジネスIoT企画部長=7日、那覇市のauNAHA前

 KDDI(東京)と沖縄セルラー電話(那覇市)は共同で、あらゆる物がインターネットでつながるIoT(モノのインターネット)機器向けの新しい通信規格を活用したごみ箱の実験を那覇市の沖縄県庁前交差点周辺で実施した。ごみ箱内のセンサーを通してごみの量をリアルタイムで確認し、ごみのたまる早さが設置場所ごとに異なるのに合わせ、回収タイミングを効率化できた。この技術を応用すれば災害予防などにも活用でき、IoT技術の利用拡大につながりそうだ。

 実験はKDDIが2017年度内のサービス開始を目指して開発しているIoT機器向けの通信規格「LTE―M」の実証の一環で、2~8日に行われている。

 沖縄をはじめ国内では市街地のごみ箱設置場所が減り、管理の手間が一つの要因となっていた。増加が続く観光客を中心に不便を感じるケースもあった。

 IoTごみ箱は上部に設置された音波測定器で捨てられているごみの量を遠隔で確認する。一定量になるとメールで管理者に通知され、担当者がごみの回収に向かう。

 実験ではパレットくもじ前から国際通りの土産品店前まで約300メートルの区間で4カ所にごみ箱を設置した。その結果、2日に1回の回収で十分な所もあれば、毎日回収が必要な所もあるなど、回収頻度に差が出た。KDDIは「無駄に回収に回る手間を省ける」と意義を語った。

 ごみを量る音波センサーをカメラに変えれば不審物の確認などテロ対策にも活用できるほか、同様の技術を使えば川の水位を測って水害を未然に防いだり、ウオーターサーバーの水が切れる前に配達が来るようにするなど、IoT技術が活用できる幅の広さを強調した。

 KDDIの原田圭悟ビジネスIoT企画部長は「省電力でコンセントがない場所にも設置できる。IoTで自動検知することで、世の中はもっと便利になる」と、IoTで社会の課題解決に取り組む重要性を語った。

<用語>LTE―M
 KDDIが年度内の商用化を目指すIoT機器向けの通信規格。スマートフォン向け通信と違ってスピードが毎秒1メガビット(最新の通信規格の700分の1)と遅いものの、従来に比べ省電力で地下など電波が届きにくかった所でも通信でき、コストを削減できる特徴がある。数値など比較的小さなデータを扱うことが多いIoT機器の通信に適する。他のIoT機器向け通信規格と違い、既存の携帯電話基地局のソフトウエア改修で済み、新たに機材を設置する必要がなくエリアを展開しやすい。