「デザイン思考」学ぶ 最先端地で得た実践に自信 リュウキュウフロッグス


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 フェイスブック、ヤフー、米航空宇宙局NASA…。8月13日(日本時間14日)、米カリフォルニア州シリコンバレーに立地する企業を見て回った7人は早速、圧倒された。7人は沖縄県内で78人の応募から選ばれた人材育成事業「Ryukyufrogs」(リュウキュウフロッグス)の9期生。中学1年生から大学3年生のメンバーだ。

カフェの利用状況についてインタビューするリュウキュウフロッグスの9期生たち=8月16日、米カリフォルニア州パロ・アルト

 現地でリュウキュウフロッグスを迎えているIT企業Just Skill代表の山谷正巳さんがシリコンバレーの企業文化を解説した。「グーグルやアップルは新しいことをどんどんやろうとしている企業。世界で雇用も生み出している」。宮古島から参加している加持恵達さん=平良中3年=は1日の振り返りで「日本とのシステムの違いを感じた。どうしてだろうと着眼できた」と早速、課題意識を持った。

 その「どうして」のヒントとなる研修が滞在4日目、スタンフォード大学に近接するコンサルティング企業WiLであった。7人が行ったのは「デザイン思考ワークショップ」。「デザイン思考」は洞察によって課題を見つけ、解決のアイデアを数々に出し、そのなかから特定の案を試行し、結果を省みるサイクルを何度も回す思考法。シリコンバレーでは革新的ものづくりや起業、キャリア設計などあらゆる場面で用いられる。スタンフォード大学の広いキャンパスの中心にはデザインスクールが位置し、多くの学生が学ぶ。

 約5時間でデザイン思考を実践するワークショップで挑んだ7人が挑んだ課題は「シリコンバレーの街に琉球カフェを創業する」。「人はなぜカフェに来るのか」と仮説を立て、実際に街を歩いてインタビューを実施。沖縄を感じさせるコンセプトを考案し、創業プランをグループごとに一つ発表した。

 「起業家は1人で仕事をしているよりは、カフェに来た方が刺激が受けられる」という街頭調査の声から着想し、店内を全面ホワイトボードにして沖縄のお菓子などを出す、人が集まるカフェを構想したのは辺土名律さん=沖縄大学2年=のグループ。ワークショップの過程で辺土名さんは「これまでは問題を解決しなきゃという思いばかりで、アイデアを広げることをしていなかった」と自身の弱点に気づく。しかし、技術革新の最先端地で実践的学びを吸収し「自信が持てた」と誇らしさものぞかせた。(東江亜季子)

まずはアイスブレイク。お題の写真を見て、せりふなどを考える。革新を生むにはユーモアを持とう!
課題は「シリコンバレーのパロ・アルトの街に琉球カフェを創ろう」。まずは沖縄をテーマに着眼点を整理します。

「なぜカフェを利用しますか?」と街のカフェを歩いてインタビュー。なぜ、なぜ、なぜを深掘りします。
インタビューで聞いた結果をふせんに書き出してグループで共有。

琉球カフェを創るとしたら、パロ・アルトのカフェを利用する人たちはどんなことを求めているのか、問題定義のために話し合いを深めていきます。
いよいよ「琉球カフェ」のプランが上がってきました。辺土名律さんのグループは寸劇で発表。演技力も光ります。

Ryukyufrogsだけでなく、WiLのメンバー、プロの大人の人たちが考えた「琉球カフェ」プランにもよかった案、改善案などをフィードバックしました。

 民間の人材育成事業「リュウキュウフロッグス」(代表理事・比屋根隆レキサス社長)は、8月13日から23日まで、シリコンバレー研修を実施した。同事業は、社会課題を解決するノウハウと技術、起業家精神を身に付けた「ハイブリッド人財」の育成を目的とする。選抜学生は約半年間、課題解決に向けての考え方や英語を学び、自身のサービス案を構築して、12月、成果発表会「リープデイ」の舞台に立つ。