沖縄県内観光案内、外国語表記にルール 中韓英語、県が策定


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
県と専門家で検討してきた「多言語翻訳ルール」について意見を交わす参加者=11日、那覇市の沖縄産業支援センター

 外国人観光客への観光案内を巡り沖縄県文化観光スポーツ部はこのほど、沖縄の地名などの外国語表記を統一する「沖縄県における多言語翻訳ルール」をまとめた。専門家による委員会で中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、英語の翻訳ルールづくりを進め、沖縄特有の呼び名は言葉の読み方を重視して表音表記とすることなどを確認した。

 県観光整備課は9月末をめどに、翻訳の際の指針として利用してもらう「多言語翻訳ルール」と、実際の地名や施設を例示した「対訳事例集」をホームページで公開する。

 公開に先立ち、市町村の観光協会や翻訳案内士ら約60人を集めた説明会が11日、那覇市の沖縄産業支援センターで開かれた。多言語表記統一に関する委員会の堤純一郎座長(琉球大工学部教授)は「外国人客の増加で多言語案内の整備が必要なことに加え、観光ガイドブックや案内板など媒体によって表記の違いや誤りが見られる。日本語の地名を外国語に翻訳するルールを決め、事例を示すことができた」と語った。

 中国語(簡体字/繁体字)表記の考え方では「沖縄」などの固有名詞は漢字をそれぞれ簡体字、繁体字に変換し、普通名詞部分は中国語に訳して付記する。

 沖縄特有のひらがなやカタカナ表記の地名は「おもろまち→Omoromachi」「ライカム→Rycom」のように、ローマ字やアルファベットで表記する。「壺屋やちむん通り」は沖縄特有部分の呼び名「やちむん」をローマ字で表記し、かっこで中国語による説明的な語句を併記する。

 韓国語は、固有名詞は日本語の発音をハングルで表音表記し「かりゆしウエア」「やちむん」など沖縄特有の呼び名もハングルで表音表記する。「警察署」「橋」などの普通名詞は韓国語に訳して表記する。

 英語は、既に沖縄総合事務局が示している道路標識の英語表記ルール「著名地点道路案内標識マニュアル」に準拠した。「奥武山公園→Onoyama Athletic Park」のように、固有名詞部分はヘボン式ローマ字で表音表記し、普通名詞は英語で記載する。「真玉橋」のような切り離せない地名は「Madanbashi Bridge」、「魂魄の塔」のように名称や呼び名を正しく伝える必要がある歴史文化遺産は「Konpaku―no―to Monument」と表記するとした。