残酷行為にも非暴力で(談話・石原昌家沖国大名誉教授)[チビチリガマ損壊]


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 住民が集団で死に追い込まれたチビチリガマは、沖縄戦の日本軍による住民被害を象徴する場所だ。それを破壊する行為は、被害住民を2度も3度も殺すようなものだ。残酷すぎる。「命どぅ宝」という沖縄の平和の思想を発信している場所として注目を集めてきたからターゲットになったのだろう。

 辺野古の新基地建設を阻止する運動が、戦争体験者を先頭に展開されている。今回の行為には、沖縄の武装化を進めたい勢力の、運動をひるませ押しつぶそうという狙いがあるのではないか。

 このような行為に対して、あくまでも非暴力に徹して屈しないという姿勢を貫き、相手を諭すように平和の尊さを訴えていくべきだ。(平和学)

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 チビチリガマ 読谷村波平にある自然壕。1945年4月の沖縄戦で米軍が上陸したことに伴い、周辺の住民140人が避難。4月2日、米軍の投降に応じずに83人が「集団自決」(強制集団死)に追い込まれた。事実は長い間表に出なかったが、83年に作家・下嶋哲朗さんや住民による調査で全容が明らかになった。