【東京】歴史教科書での「集団自決」(強制集団死)の強制性記述の回復を求めて活動する「9・29県民大会決議を実現させる会」は13日、国会内で2007年の県民大会から10年に合わせたシンポジウムと「集団自決」に関する写真展を開いた。シンポジウムでは「集団自決」があった読谷村のチビチリガマが荒らされているが見つかったことを受け「破壊行為を断じて許さない」などとする抗議アピールを採択した。
アピールではチビチリガマが「極めて異常な形で死に追い込まれた人々の無念の思いが込められた場所」とし、顔を見せず声や意図も明らかにせずに蛮行を実行したひきょうな行為者とその破壊行為に対する抗議の意思を表明した。
シンポジウムには沖縄戦を体験した元白梅学徒の中山きくさんや教科書検定に詳しい高嶋伸欣琉球大名誉教授、「実現させる会」の仲西春雅世話人、仲里利信衆院議員(無所属)の4氏が登壇した。
仲西さんは16年の検定で帝国書院の高校教科書に沖縄経済に関する事実誤認の記述があり、訂正されたことを挙げ「9・29の運動をやっている中で防げたことだ。活動を通して、真実を載せる大事さを感じている」と語った。中山さんは沖縄戦の教科書記述で登場するのはひめゆり学徒だけで「全ての女学校に学徒があったことくらいは入れてほしいと言ってきたが良くなっていない」と指摘した。
高嶋名誉教授は、教科書検定を巡る干渉や圧力を沖縄が民意の力ではねのけてきたことを強調。07年の県民大会で実行委員長を務めた仲里衆院議員は「オール沖縄につながる原点が県民大会にあった」と語った。