【糸満】世界の大舞台で輝け―。沖縄県糸満市出身の上原杏奈さん(25)がこのほど、プロのコンテンポラリーダンサーとしてデンマークでの初舞台を終えた。文化や言葉の壁を越え、「人魚姫」などアンデルセンの童話に振り付けし、6月から3カ月間で全360公演を踊りきった。上原さんは「ハードだったが、毎回、いい舞台を見せるために自分を高めなければならず、メンタルが強くなった」と明るく話す。来年3月には埼玉県で上演される現代舞踊名作劇場への出演も決まり、プロとしての道を着実に歩んでいる。
上原さんは、ジャザサイズインストラクターの母・知美さん(49)とクラシックバレエを習っていた姉・里佳さん(26)=東京都在住、ダンサー=の影響を受け4歳で飯島バレエスクール糸満教室に通い始めた。
西崎小から興南中、興南高校を卒業後、日本女子体育大学に進学。18歳でコンテンポラリーダンスに出合った。「自分の感情を表現し、人間性が全部ダンスに出ておもしろいと思った」
大学卒業後、23歳でハンガリーに渡り約1年間学び、その後デンマークで世界中のダンサーと修業を積んだ。デンマークで数々のオーディションを受け、今年3月にアンデルセンの人生を童話と共に表現した「The H.C.Andersen Experience(アンデルセンの経験)」の出演をつかんだ。
「親指姫」や「マッチ売りの少女」など11話をフランスやイタリア、ドイツ、エストニア出身のダンサーと5人で表現した。上原さんは「不器用なハンス」など2話で主役を務めた。
公演は午前11時から午後5時まで月曜を除く毎日。1時間おきに15分と、1日1回45分、3カ月で全360公演を行った。「アドリブもOKで、毎日いろいろな発見があった」と言う。途中、右足首をケガしたが「代役はいないし、泣きながらでもやるしかなかった」と最後まで踊りきった。
今後しばらくは東京を拠点に活動する予定だが、目標は海外の舞台。「世界中からダンサーが集まり競争できるヨーロッパで、もっとチャレンジしたい。自分に自信を持てるようになったら沖縄でも公演したい」と語る。世界に挑む25歳は、可能性で満ちあふれている。
上原さんのダンスは、ホームページ(英語)でも見ることができる。
https://annauehara.amebaownd.com/
(豊浜由紀子)