那覇空港の機能拡張を 将来像巡りシンポ


この記事を書いた人 平良 正
基調講演で世界的な空港の潮流や規制緩和などを解説する中条潮氏=21日、那覇市のロワジールホテル那覇

 那覇空港拡張整備促進連盟と沖縄県経済団体会議は21日、第2滑走路が完成した後の那覇空港の将来像をテーマにした「大那覇空港シンポジウム」を那覇市のロワジールホテル那覇で開いた。沖縄の玄関口となる那覇空港の機能・容量の拡大に向けて、2本の滑走路間を埋め立てて新旅客ターミナルやホテル、商業施設を集積させる経済界の将来構想案を基に、国際的な競争力のある空港とするための方向性を探った。

 同連盟の石嶺伝一郎会長(県商工会議所連合会会長)は「現在のターミナル位置では能力を最大限に発揮できない。那覇空港を拠点に2次交通を各地に展開し、宿泊やショッピングも楽しめる世界最高水準の国際リゾート・ビジネス空港として飛躍発展させたい」と述べた。会場は650人の来場者で満杯となり、シンポジウムを皮切りに那覇空港の機能拡張に関する議論を県民の間に広げていくとした。

 パネルディスカッションは川満誠一県企画部長、白石武博県レンタカー協会会長、岡田晃ANA総合研究所社長、中条潮慶応大名誉教授が登壇、下地芳郎琉球大教授が進行役を務めた。

 川満部長は「航空需要の伸びに対応するターミナルビルの整備をしてきたが、さらに需要が伸びていくので、大那覇空港の整備は目前に迫った課題だと認識している」と述べ、現在地では用地拡張に制約がある旅客ターミナルビルや駐機スポットの拡大で対策が必要との見解を示した。

 白石会長は「インフラの大きさ以上に経済は大きくならない。第2滑走路の位置はかなり活動して沖合1310メートルを実現しており、将来構想も今から行政を動かさないと実現できない。2030年あたりの時期に世界に冠たる空港にしたい」と呼び掛けた。

 岡田社長も「ジャパンクオリティーの航空機整備事業を全日空として18年から那覇空港で展開する。旅客でも貨物でも整備でも素晴らしいポテンシャルがある。最大限に活用するには政財官一体で取り組む必要ある」と後押しした。

 中条氏は「グローバリゼーション経済に対応した全県特区のオープン化政策として、大琉球王国構想を提案したい。空港民営化を本土に先駆けて実施し、空港特区を核とした成長の考えを持ってほしい」と民間活力の導入を軸とした規制緩和の推進を呼び掛けた。

 下地教授は「那覇空港がさまざまな機能を持つことは、観光客だけでなく県民の財産となる。一人一人が拡張に理解を深めていくことが重要だ」と述べた。