世界遺産登録、基地が障害に 東村で学習会 沖縄県内識者らが指摘


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世界自然遺産登録に向けたやんばるの森と米軍基地の問題について、学習会で意見交換する参加者ら=15日、東村農民研修施設

 【東】世界自然遺産登録を目指すやんばるの森と、隣接する米軍基地の問題について考える学習会(島ぐるみ会議東主催)が15日午後、沖縄県東村農民研修施設で開かれた。環境問題の識者2氏が講演で、米軍北部訓練場が登録への障害になると指摘し「今の状況では登録は厳しい」との見方を示した。沖縄大学名誉教授で沖縄環境ネットワーク世話人の桜井国俊さんと、琉球大学非常勤講師でジュゴン保護キャンペーンセンターの吉川秀樹さんが講演した。

 桜井さんは「やんばるの生物の多様性は、まさに地球の奇跡。世界自然遺産に値する」と強調。一方で、登録の条件となる十分な面積の有無や保護管理体制について、北部訓練場の存在が問題になると指摘した。

 米軍ヘリが東村高江に不時着し炎上した事故が、国際自然保護連合(IUCN)の調査と重なる時期に起きたことにも触れ「やんばるの基地と世界自然遺産は両立しないと、警告したのが高江での事故ではないか」と語った。

 吉川さんは、日本政府が提出した登録推薦書に北部訓練場について、ほとんど記述されていないことを紹介し、同訓練場内での保護管理体制について日本側に限界があることなどを指摘した。「登録は、今の状況ではとても厳しい」との見方を示した。