祭祀鮮明に映し出す 宮古島「ナナムイ」写真展に230点 比嘉、長崎さん撮影


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宮古島市平良西原の「ナナムイ」の様子を写した写真展を見学する人々=1日、宮古島市平良の西原地区公民館

 【宮古島】宮古島市平良西原の伝統祭祀(さいし)「ナナムイ」を撮影してきた写真家の比嘉豊光さん(67)と長崎健一さん(35)の「まぶいぐみ連続写真展vol.19 比嘉豊光&長崎健一『ナナムイ』in宮古島」が1日から西原地区公民館で始まっている。他の地域の人が容易に立ち入れない祭祀の様子を写した約230点の写真が展示されている。入場無料、8日まで。

 ナナムイは西原地域の御嶽がある「七つの森」を指す。祭祀の中心となるナナムインマは40~50代の女性が対象で、ナナムイに入ってからの10年間、地域の神事に携わる。その数は年間50余に上るという。だが人口減や共働き世帯の増加を背景に、ナナムインマになる女性が減り、本来5人で行われる祭祀は、今は3人で続けているという。

ナナムイの継承について話し合う出席者ら

 1日、写真展開催を記念して同公民館でトーク・シンポジウムが開かれた。1997年からナナムイの撮影を続けている比嘉さんは「僕が撮影を始めたころは神事に携わる女性は40人くらいいた。あの頃はナナムイが元気だったが、だんだんとなくなっていった」と急速に途絶えていく伝統の行く末を憂慮した。

 西原出身の長崎さんは2008年から撮影を始めた。当時はもう祭祀に関わる女性が少なくなっていたが「願い事の祭祀だけにテーマを絞って撮影する必要はない。共同体の日常という、時代が変わっても変わらないものを撮り続けたい」と強調した。

 09年にナナムインマを卒業したという女性は質疑応答で「後継ぎがいないことがつらかった。伝統あるナナムイを引き継ぐ人が出てくれば」と願いを込めるよう訴えた。